サンダルの Sunseeker
松田:見てやこれ、ちょっとよくない?
ひかる:めっちゃかっこいいじゃないですか、どこのなんですか?

松田:ホカオネの、なんか最近出たやつ。リカバリースライド系なら今これ一択やと思うで。めちゃめちゃかっこいいもん。
ひかる:へー。 イージースライドより全然いいですね。

みなと:てかさ、リカバリーサンダルって実際どういうことなの? 本当にリカバリーできるの?
松田:えっとね、まあ物にもよるねんけど、ランニングやと10kmくらい走った後ならわりと効用は感じられるで。みなともテニスの後に履いたりしたら気持ちいいんとちゃうかな。
みなと:へー、やっぱそうなんだ。
松田:ただ履き心地はブランドによってかなりちゃうと思う。そもそもリカバリーサンダルのロジックって、スポーツ中に前足部とかかとの3点で接地してアーチが緊張していたのを、アーチを直接突き上げるようにして持ち上げることでグーっと伸ばしてあげましょうみたいな話なわけやん。普通にストレッチと同じやんね。
みなと:はいはい。
松田:だからそれこそ本家の OOFOS とかは、かかとと前足部が接地する感じがかなり少ないねん。アーチだけで地面に接続してる感じ。
みなと:それちょっとバランス悪そうじゃない?
松田:そう、まじでそれ。特に OOFOS はフォーム自体が柔らかいのもあって、身体動かした後にしばらく履くとかなら知らんけど、一日を通して履くみたいなことをずっとやってると足首にめっちゃ負担かかる気がする。おれはほんまにずっと履いてたら足首痛めちゃって、むかついて捨てた。
ひかる:笑
みなと:やばいじゃん。
松田:でもな、ホカオネのこれはちゃうねん。てか最近出た他のメーカーのやつは大丈夫やと思う。つまり OOFOS がリカバリーサンダルっていうジャンルを切り拓いたおかげで、リカバリーって言っとけばただのフォームサンダルを最大10,000円で売ってもいいことになったわけやん?
みなと:笑
3,000円で買えてジビッツもつけられるcrocsがMVP
松田:これは中華料理屋の杏仁豆腐と同じやんね、フットウェアメーカーの錬金術がこうして生まれたわけ。
ひかる:え、てか杏仁豆腐ってそうか…
松田:いや、まあ杏仁豆腐に関しては実際は知らんよ笑 ちゃんとした材料使ったら高くつくみたいなのはありそうやしね。で…そう、でもほんまのリカバリーに徹しすぎるとファッションできなくなるのはみんな分かってるから、ホカオネのこれとかもええ塩梅にチューニングされてんねん。
みなと:笑
松田:ウーフォスよりフォーム自体が硬いし、アーチの突き上げもそこまで極端じゃない。だから毎日でも履けるし… 何よりホカオネっていうのがいいよね。
みなと:そうなんだ笑
松田:ホカオネはね、真剣にスポーツに向き合うシャープさもある一方で、なんとなくライフスタイル感というか、健康のために身体を動かしてる余裕みたいなのが感じられるねんな。要はさらっとしてんのよ。
みなと:はいはい。
松田:だから…SALOMONとルルレモンのちょうど間、これじゃね?
ひかる:え、完全にそれじゃん笑
みなと:なるほどね…なるほど。
SALOMONな、なんかマジっぽすぎて恥ずかしくて履けない
松田:フォームサンダルやと、他にもそれこそイージースライドとかクロックスの新しいやつも候補ではあってんけど、あの辺はちょっと Bondee すぎるねん。普段から履こうと思うとやや滑稽というか、ベルベルジンの地下で買ったジーパンと合わせるみたいな極端なコントラストを出さんと収まりがつきそうにないなって。

ひかる:はいはい。
松田:でもホカオネのこれやとさ、テクスチャもデザインもええ塩梅でノイジーやから、まあ何に合わせても変ってことはないと思う。あとは素足で履くより白い靴下と合わすほうがええで、デザインがより際立つから。
ひかる:確かに。
松田:その辺ひっくるめておれはこれをサンダルのサンシーカーって心の中で呼んでるねんけど…
ひかる:すみません、ちょっと分かんないです。
松田:うん、まあそうやんね。

サンシーカーはこれ。水回りで活躍する点や、居住性の高さが履き心地と比べられる点に加え、かかとの突き出たデザインが船尾デッキに例えられそうだなと思ったんですがいかがでしょうか。
同じような例だとNBの1300がよくロールスロイスに例えられますけど、乗り心地しか共通点がない上に乗ったことないやつがほとんどですよね。でもこれ別に煽ってるとかではなくて、複雑で可視な相違の中に単純で不可視な相似を見出す、しかもそれを直接経験したことのないものを対象にするのって、いかにも人の営為って感じで素敵だと思います。もちろん人の営為にも質の良し悪しはあるにしてもね。
2023年5月5日
Aux Bacchanales 紀尾井町