#7 財布どれにしたらいいか分からん
ギャルソンのあれでええんちゃう? まあよく見なくても作りが雑すぎる点は泣きたくなるけど / ロンハーマンのオリは間違いなかったよ。なんでなくなっちゃったんやろう / 個人的にも密かに憧れてるのがバレンシアガ
なつき:松田さ、なんか財布おすすめのない?
松田:前使ってたロンハーマンのやつ、あれあかんの?

なつき:あれさ、すごく気に入ってたんだけど…スエードがこんな感じになっちゃってるんだよね。
松田:あー、確かにね。スエードは分かりやすく死んだ顔になるよな。
ひろや:なんか変わった形ですね。
なつき:正方形なんだけどね、この形とサイズが自分のニーズにはあってて。
松田:スエードじゃなかったらもうちょい粘れたって話ない?
なつき:でもね、やっぱりロゴが消えちゃうんだよね。
松田:なるほどね、まあ大事なところやな。
なつき:でも同じやつは最近出てないんだよね。ロンハーマン、オリジナルの財布は最近はないっぽい。
松田:あ、まじで? でもそれめっちゃ人気のやつやのにね。メルカリでのリセールほぼ100%ついてたでしょ。
なつき:そうそう。
西川:へー。
まほ:ギャルソンのカラフルのやつしか置いてないよね。

松田:それこそギャルソンのあれでええんちゃう? まあよく見なくても作りが雑すぎる点は泣きたくなるけど…
西川:笑
松田:でもそこも含めてのそういうやつやん、たぶん。財布に納得することは誰もできないっていう、これは業界のコンセンサスとしてあるわけで。
なつき:笑
松田:それを前提に生み出された、6割5分の期待値で買って満足する、そういうやつやん。ただ…雑誌のギャルソン特集で「財布はずっとギャルソンなんですよ」みたいな、アートコンプレックスのあるクリエイティブ職が出てきたりするやん。確かにギャルソンの財布はストイック中のストイックな選択である一方、中にはああいうのも紛れ込んできたりするな。うーん。
なつき:ギャルソンさ、ちょっと安いじゃん。それがちょっと気に食わんというか。
松田:まあ分かるよ、その価格にさえ不相応な作りやしね。それで見たら made in Spain でしょ、やっぱスペインは三流工業国なんだなって。
西川:笑
松田:それかタカが前に言ってたクロムハーツのチェンジパース、あれはええんちゃうんかな。
なつき:全然入ってこないって言ってたやつだよね。
松田:そうそう。あれ確か定価44,000円でしょ、普通に安いし。あとはクロムハーツの財布の内張のゴミみたいなナイロン、あれがないのもポイント高い。
なつき:はいはい。
松田:あとは入ってこないとは言うけど、本国オーダーしたら半年待てば手に入るよ。まあ半年やんな…3ヶ月やったらおれも待つねんけど。
なつき:てか本国オーダーってどういうこと?
松田:店舗でオーダーしたら本国に言って作ってくれるねん。ただクロムハーツな…チェンジパースを注文しても、思ってたチェンジパースがやってくるかは分からんねん。
西川:えー…
松田:本国にとってのチェンジパースは変わり得るらしい、意味分からんねんけどな。
まほ:やば笑
松田:それに対して「やっぱ無理とかは無理なんで」らしいよ。まあでもさすがにね、同じものが来ることを期待していいとは思うけど。
なつき:あー、じゃあ待とうかな。
松田:おれの場合はね、クロムハーツは待てず、ギャルソンのぐずぐずの財布を使う勇気もなく、ジップロックを財布にする勇気ももちろんなく、結果 visvim っていう「あ、こういうふうにして東京のいけすかないおじさんは生まれていくのか」みたいな選択をしちゃった。
まほ:笑

松田:これな、なんか東京の嫌な部分に続く道な気がしてるねんな。
なつき:笑
松田:せめてもの抵抗として色は黄色にしたけど。ただね、満足度は結構高いよ。
なつき:うん、かっこいいよね。
松田:それにサイズもいろいろあるしね。あとおれのこれなんかは顔料染めやから…
なつき:色落ちてくるんだ。
松田:そう、半年で10年経つよ。
まほ:あとそれ耳が偉いね。
松田:せやねん。あると間違いなく便利な上に、いい塩梅の意匠になってるよね。
なつき:へー。
松田:あとはなんやろうな…でも財布に関しては、昨日 ピー さんも「何にしたらいいと思いますか」って言ってたから、もう無理なんやと思う。誰も抜け出せない輪廻や。
なつき:笑
松田:やっぱロンハーマンのオリは間違いなかったよ。なんでなくなっちゃったんやろうな。ひろやは財布何使ってんの?
ひろや:なんか、両国の革のお店で…
松田:それ系ね。
人の話は最後まで聞け
ひろや:でも結構いいですよ。
松田:まあそういうクラフト路線もなくはないと思うな。それこそ GANZO、あそこ作りは死ぬほどいいよ。ステッチもコバの仕上げも迷いがないもん、そこだけは日本のエルメスと言ってもいいと思う。
なつき:へー。
松田:だから、GANZO のクロコのカードケースとかはいいんじゃない? 単に GANZO やと不安は残るけど、クロコでカードケースやと…
なつき:なるほどね。
松田:「そういう矛の収め方ね、なるほどね」ってなると思う。
西川:笑

なつき:もうそうやってスタンス作るしかないんやね、財布は。
松田:か、個人的にも密かに憧れてるのがバレンシアガ。BALENCIAGA って書いてるバレンシアガね。
なつき:あー。

松田:なつきのその、ロン毛でティンバックのメッセンジャーにカーゴパンツの感じ、それに BALENCIAGA はもう完璧でしょ。超テクいやん?
まほ:笑
ひろや:そんな繊細な戦いが財布には…
松田:ほんでよく見たらクロムハーツもしれっと着けてるんやろ。なんだなんだ、結局は東京をわきまえてやがるのか、そうなるわけですよ。
なつき:確かにね、お金があったら欲しいかもね。
松田:別に高くないよ、カードケースで3-4万円とかでしょ。
なつき:あ、じゃあいいかもね。
松田:地方から上京しておきながら東京にケチをつけ一方で何のスタンスもとらない、そんなおれみたいなやつがいる一方で、器用にスイスイと生きてしれっと BALENCIAGA、それはもうなつきの優勝やん。そういう感じ、今出た案の中では一番いいと思う。
まほ:笑
なつき:でもそうなんだよね、財布自体の形はほぼほぼ決まっているというか、新しい形があるわけではないからね。
松田:あるいは、ゴヤールのカードケースは?
なつき:なにそれ?

松田:ゴヤールは…ヤンキーがルイヴィトンに憧れるのと同じロジックで、それに憧れてる二子玉川の人がいる。車はレンジローバー、そういう感じ。
西川:ふーん。
松田:でもなつきが持ってるとちょっと違うかもな。「そういう文法があるのは分かるけど君はちゃうでしょ」ってなりそう、あるいはまじのクリエイティブ職の人に間違われるか。
まほ:笑
なつき:ボッテガは…だめですか?
西川:あ、私もボッテガいいなって思ってた。
松田:西川にしっくりくるってことは違うでしょ、分かるやろ。
西川:なんで笑
松田:これはおしゃれの話やから厳しくいかしてもらうで。
ひろや:笑

松田:だってな、ボッテガって会社の同期で使ってるやつおるやろ?
西川:いないよ。
松田:やっぱそういう感じやねん。ヤンキーのルイヴィトンと同じ、若いサラリーマンのそれやねんって。
西川:だからいないって笑
松田:あるいはおじいちゃんが焦がれるダンヒルのライター、ボッテガの財布ってそういう感じやで。
なつき:なるほどね。
松田:20代のサラリーマンがボッテガの財布なんて、何の新規性もないんよ。
西川:でも周りにいなくない?
松田:いるよ、みなとはボッテガやで。
西川:いやディスってるじゃん笑
松田:ちゃうねん、みなとはええねん。みなとはそういうことやってもしっくりくる稀有な人物やねん。だからもうそういうのは全部みなとに任しとけばええねん。
まほ:笑
松田:しかもみなと、今のボッテガの財布二代目やで。
西川:へー。
松田:じゃあそんな好きなんかって、いやそうじゃないねん。最初のやつは家庭教師先のお母さんからもろて、それが古なったから「まあ次も同じでいいかな」やで。それにかなうんか?
西川:笑 かなわないね。
なつき:じゃあボッテガは人から貰えばいいんだね。
西川:でも緑の分厚いやつ、あれ可愛いなと思って…
なつき:松田がいつかプレゼントしてくれるよ。
松田:なわけないでしょ。他はなんかないかな…
なつき:エルメスは財布はないの?
松田:もちろんあるけど…たぶん想像の3倍高いで。
なつき:あ、そっち…
松田:「ブランド物だからこれくらいするよね」の3倍高い。ただカードケースとかなら10万円くらいであるし、visvim の前はずっとエルメス買ってたけど、まあ普通にいいはいいよ。
なつき:やっぱそうなんだ。
松田:ただね…まあ普通にいいけど、その試行から得られるもんはないって感じでもあるよ。じゃあもう明日死ねよというか。
なつき:どういうこと笑
松田:一番いいものが一番いいっていう、それだけの話やねん。クロワッサンが美味しいのってバター死ぬほど入れるからやん、なんかそういう感じ。
なつき:あー、なるほどね。
松田:だからやっぱバレンシアガじゃない? バレンシアガであればなつきが誰から批判されてもおれは全力で擁護するよ。
まほ:笑
なつき:中垣に何か言われても…?
松田:「それはちゃうやろ」って、ちゃんと言うてあげる。
西川:笑
2023年3月17日
Aux Bacchanales 紀尾井町