#13 一年ぶりに会った大阪の人が真面目な話の前にするアイスブレイクの感じ

レターパックで服届いても嬉しくないやん? / お前はおれのもんやぞっていうのを教えんとあかんねん、服は甘やかすと調子乗るから / 僕仲良しの女の子にデニムを切った自作の短パン送ったからね

梶村:やっぱおもろいこと言わなあかんっていうプレッシャーがな…もう「どうしようどうしよう」ってなっちゃうわ。

松田:笑 てかこれ見てください、ホテル新阪急のボールペンなんですけど、Bicのボディに金の印字なんですよ。

梶村:これは藤原ヒロシの仕事かな。どっかにフラグメントのマーク入ってない?

松田:…瞬発力がすごいな、ないですよ笑

梶村:でもこれ普通にいけてるね。

松田:そうでしょ? 滞在中、一日一本ずつパクろうか思ってるんですよ。あとはチェックアウトのときにアンケート書いて渡したら粗品もらえるらしいんですけど、たぶんこれな気がしますよね。

梶村:なんで新阪急ホテルにしたん? 安かったん?

松田:そうです、一定梅田に近い範囲ではかなり安かったですね。でもそれは一ヶ月前とかで、宿泊の一週間前にもう一回調べたら安いホテルは軒並みなくなってましたね。安くて一泊3万円から、みたいな。

大阪の新阪急ホテル、高級志向では全くない普通のホテルながら、ホテルの矜持みたいなものをわずかであっても感じられる点がとても心地良いです。最近のアフォーダブルなホテルってドーミーインとかアパみたいに、限られた条件の下でフィジカルな存在としての人間をレストさせることが上手すぎるものが多いように感じますが、それと比べるともっとこう積極的な思想を見出せそうというか。
あとは場所柄も、同じ梅田でもイケイケドンドンのグランフロント周辺とは違う、歴史の積み重ねを感じられるところなんですよね。要は小林一三にどこかから見られているような、そういう軽い緊張感があるということです。

梶村:3万円? たっけ。でも東京も高いよね。僕5月3日に友達の結婚式で東京に行くんやけど高かったな。南千住とかに行ったら安いとこあるねんけどね。

松田:東京に行くって言って南千住にホテルとるやついます?笑

梶村:南千住な、お金ないときによく行ってたホテルがあるんやけど、そこは結構やばいんよな。刑務所ってこんな感じなんやろうなって思ってしまうようなさ。

松田:それでなんぼなんですか?

梶村:当時で2000-3000円かな。今はもっと高くなってるかも。

松田:それたぶんジャンルちゃいますよ、ほんまにホテル?

梶村:なんか僕鉄道のことあんま知らんねんけど、切り替えポイントかなんかおもろいやつがあるらしくて、それ見たい人がよくそこに泊まるっていうのは聞いたことがある。

松田:そのためだけに存在するホテルか。

梶村:そう、そういうホテルが南千住に存在する。あの街はバイブスがすごいよね、何が起こってもおかしくないと感じるからね。

松田:笑

梶村:北千住はよく行くねん。友達がやってるAmanojak.っていういけすかないお店があるんやけど。

松田:笑

WWD

梶村:扱ってる商品がインフレしてるんよね。大学のときの友達がやってるから行くねんけど、いつも何も買わへん笑

松田:てか服っていつもどうやって買ってます?

梶村:そうなんよ。僕な、最近買う服はほんまにヤフオクとかかな。まず「服欲しいな」と思うやん、そしたらリネンのシャツが欲しいなみたいな、特定のカテゴリーになるんよね。

松田:はいはい。

梶村:特定のブランドが欲しいというよりかは「そろそろ夏だからリネンのシャツ、派手なんがいるな」って感じで探すことが多くて。

派手なん

松田:でもそうなると見つからんでしょ?

梶村:そう、そうなるともう服屋で見つかるようなもんじゃないから、結局はネットで買う感じになっちゃってて。ただ自分としてはそれじゃあダメじゃないかって気持ちもすごくあって。

松田:はいはい。

梶村:だって大前提として、服は服屋で買いたいやん?

松田:うんうん。

梶村:でもじゃあ服屋に欲しい服ある?ってなったら、妥協の妥協の妥協くらいしか見つからなくて。それも嫌じゃん?笑

松田:うん、まあそうですね笑

梶村:だから…僕の欲しいものを置いてる服屋ができればいいんちゃうかな。

松田:それ普通の話ですけどね。

梶村:でもそう、ほんまにそう。だから服買えば買うほどフラストレーションが溜まってる。だってレターパックで服届いても嬉しくないやん?

松田:分かる分かる。「これは自分にとって魅力的な何かなんだ」っていう、気持ちを上げていく必要がありますもんね。

梶村:そうそう。これ八月さんがよく言う話やけど、服は買うときが一番興奮してそこから目減りしていくもんやから。

松田:僕も前に Stussy のTシャツをヤフオクで買ったんですけど、どこの倉庫に置いてたんか知らんですけどめっちゃカビ臭くて、なんならカビ生えてて。

梶村:それ洗ってもどうにかならへんの?

松田:いや洗ったらどうにかなりましたけど、カビ臭かったときの記憶は洗えないじゃないですか。

梶村:あー、はいはい。分かるわ。僕もUSEDの服買ったらとりあえず全てを消したくなるから、まずは洗濯乾燥する。洗濯して乾燥機に入れたら何かが洗い流される気がするやん?

松田:笑 まあ分かる。

梶村:あとは一緒に風呂に入るとか。そういうことをしないと自分のものになった気がしない。「こいつ前の彼氏の思い出に浸ってんちゃうか」みたいな、あるやん。

松田:笑

梶村:「前の彼氏と比べてんちゃうか」みたいなね。だから、お前はおれのもんやぞっていうのを教えんとあかんねん、服は甘やかすと調子乗るからね。

松田:笑

梶村:やっぱり購買におけるエキサイトメントってさ、例えば高い服やと腋に汗かきながらカード切るとか、そういうのがあるやん。それがネットの通販には欠けてて。ネットでオリコの24回ローンみたいな買い方しちゃうとよくないなって。

松田:笑 今でもそういう買い方ってします?

梶村:せんせん。だってな、あれってめっちゃ損やねん。

松田:知ってますよ笑

しないとは言わない

梶村:どういうことかってな、服って買った瞬間が一番やのに、エキサイトメントが下がっていく中でも払い続けなあかんねん。それにともなって支払い金額も下がればいいねんけど、支払い金額は一定なのよ。

松田:そういう契約ですからね。

梶村:そしたらどっかでバランスが崩れて、エキサイトメント以上に払い過ぎてるタイミングがくるのよね。「あー、くそっ」ってなる。「これやめたい」って。

松田:笑

梶村:だから一回で払えって話やんね、それはそう。でもさ、ごくごく普通のことでもやってみないと気付かないことってあるやん。自分の手で触れてみないと分からないんだなって。短パンを短くすることもそうで、これは僕の中でも気付きがあって。

松田:実際それかなり短いですよね。

梶村:そう、ポジションが悪いと金タマ出そうになるもん。でも松田くんもだいぶ短いで。それカシミヤ? エルダーかなんか?

松田:あ…これはCOSです笑 前にお会いした50歳くらいの方が「服は全部COSです」言うてはって、それどういうことやねんって思ってEC見てたら見つけました。セールで8,500円。

梶村:めっちゃええやん。

安いの自慢するの大阪の人だけ

松田:ただね、ウエストはゴム入ってるし、なんかカシミヤのショーツであるだけのその場しのぎの何かて感じはありますね。しかも僕下着履かないんで、これ結構危ういんですよ。

梶村:確かにちょっとこんにちはしそう、裾幅広いし。まあ出たときは出たとこ勝負やな。

松田:笑

梶村:そう、で短くして気付いたことって、女の子がよく「おっぱい見られてる」とか言うやん? ずっとそれ「誰も見てねーよ」って思ってたの。

松田:はいはい。

梶村:でもね、視線って感じるねんな。「あ、見られてる」って分かるよ。

松田:逆にショーツ以外で見られてるって思ったことはないんですか? そんな良識的な服装してます?

梶村:そう…やなぁ。まあ奇怪な格好をしてたこともあったけど。

松田:今そうじゃないみたいな言い方してるんも不思議ですよ。

梶村:でもちゃうんよ。そのときに感じてた視線っていうのは珍しい動物っていうくらいやってんけど、今はもっとこう、ねばっこい視線やねん。

松田:あー、なるほどね。

珍しい動物やと思われるのはいいのかって話が済んでないな

梶村:もっとこう、人によっては不快に感じるだろうなっていう視線やねん。

松田:でもね、じゃあそれを経験したとして、来世ギャルに生まれたらおっぱいめっちゃ出すでしょ?

梶村:出すなぁ。ぎりぎり、もう見える寸前のとこまでいきたいな。

松田:あとは半分お尻出てるホットパンツ、僕はあれ絶対に履きます。

梶村:ケツの割れ目に縦にジップ走ってるやつとかね。

松田:vetements ね。

The Mirror

梶村:あの ready to go 感がいいよ、ギャルのジャージもそういうことでしょ。とにかく短パンを短くするのは常に推奨してるから…それも切ってあげようか?

松田:これニットなんですよ、切ったら最後までほどけるんですよ。

梶村:僕仲良しの女の子にデニムを切った自作の短パン送ったからね。「絶対に似合うと思うから」って言って。

松田:それコミュニケーション取れてるんですよね?

梶村:こっちは少なくともそう思ってる。

松田:ギターで自作の曲送る系の一番きしょいやつかなとか思って。

梶村:「君のことを思って作りました」ってやつね。でもそれに半分近いな、君のことを思って切った短パンやからな。

松田:笑

梶村:でも自分の中では結構工夫してん。単純にバツって切るんじゃなくて、V字に切ったんよ。B'zの稲葉を意識してんけどこれは新しい試みやったな。

松田:履いた写真送られてきました?

梶村:まだやな。まだ…ちょっと寒いからかな?

松田:笑

梶村:でもこの時期だからこそできる服装はしていきたいから、松田くんのカシミアのショーツもそうやけど、短パンにカシミヤのセーター着るみたいな今日の服装はいいよね。

松田:でもこれね、梶村さんの方が正解なんですよ。僕みたいにショーツでカシミヤ履いちゃうと、上は冷たい系のさらっとした服じゃないとダメなんですよ。これで上がウォームだときしょいでしょ?

梶村:あー、それはそうやな。

松田:でもそうなると普通に寒いんですよ。ミスった。

梶村:確かにむずいな。カシミヤの短パンとか使い方分からんもんな。でも上もカシミヤにして西海岸の朝みたいな気持ちになるのはあかんの?

松田:その西海岸、誰も観測したことがないやつでしょ。まことしやかに言われてはいますけど。

梶村:でもサンフランシスコの朝は寒かった気がするで。まあ確かにね、暑いの寒いのどっちなの?ってね。キュートなのセクシーなのどっちなの?ってことがしたいね。

梶村:てか最近服買った? それトートはウルウルでやってたやつやんね、ちょっと見せてよ。

松田:結構いいですよ。

持ってるバッグこの2つだけ

梶村:このベターンってなってるポケットええな。

松田:ハンティングワールドみたいでしょ。

梶村:うん、しゃれとるな。

松田:それ持ってたらね、ぐずぐずな格好しててもデパートで邪険にされにくいんですよ。

2023年4月22日
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