セックス・食事・睡眠・コミュニケーション

喋りたいっていうのは表面的なもので、もっと深い部分で繋がりたいみたいなのがあって / 無人島に行って一人になってもおしゃれしますみたいなやつ、僕あれやらん気がする / みんなもっと言ったらいいと思う。「寂しいの」「話したい」って

梶村:コミュ力の話な…いわゆる便利ツールとしての「コミュ力高いです」みたいなレベルの話ではなく、コミュニケーションしたいという欲望が強いんですよ、僕は。

松田:うん、実際そうですよね。最初に恵比寿で会ったときめっちゃ思いましたもん。

梶村:そうなんよね。

最初に恵比寿で会ったとき

松田:まあチューニング次第なんですけど、知らん人ばっかのところで調整ミスったら、すみっこ立ち尽くし陰キャになっちゃうんですよ、僕。

梶村:はいはい、分かる分かる。

松田:あの日はまさにそんな感じだったんですけど、梶村さんの好采配で最悪の事態は逃れた感はありましたね。「コンビニ行こか」って言ってくれて死ぬほど感謝、みたいな。

梶村:はいはい笑

松田:あれは器用やなって思ってました。

梶村:確かに僕は自他ともに認めるコミュニケーション能力高いマンなんやけど、そもそも僕自身のものすごく切実な欲望として、コミュニケーションを取りたいっていうのがあって。

松田:うんうん。

梶村:これはもう三大欲求に匹敵するほどのプリミティブな感覚として自分の中ではある。セックスしたいとか眠たいとかお腹減ったとかと同じくらい、人と喋りたいとか…喋りたいっていうのは表面的なもので、もっと深い部分で繋がりたいみたいなのがあって。

松田:笑 でもまあ、まさにコミュニケーションってことですよね。

こんなのむしろ当たり前といえば当たり前で、社会のおかげを被って豊かに暮らしているくせに他人とのコミュニケーションに積極的じゃないやつなんて、人として以前にホモ・サピエンスとしてどうなん?って話です。

梶村:相手が何を考えているかを知りたい、とかっていう欲望が異常に高い気がする。

松田:うんうん。

梶村:相手の気持ちを汲むのが上手い下手っていう話じゃなくて…だから別に、セックスが上手いみたいな話じゃないのよ。それより先に「セックスしたい!」みたいな感じなのよ。

松田:うんうん。

梶村:上手い下手とは切り離した話としてね。まあもちろんある程度は上手いんだろうけど。

松田:まあ往々にして相関はしますよね。

梶村:セックス好きなやつは上手くなるからね、知らんけど。

松田:笑

セックスが好きやのに下手なやつ、むっちゃ嫌

梶村:それを最近思うんよね。僕は Twitter とか SNS を介して会った友達がたくさんおるけど、みんなに会いたいとかみんなと喋りたいっていうのを強く思ってて。

松田:うんうん…てか今横通った人、ジャケットの身幅すごかったですね。

梶村:ほぼ正方形やったね…要はコミュニケーションって、深い欲望として僕だけじゃなくあるんちゃうかなって。

松田:うん、でも個人的には分かりますよ。質と程度がどこまで同じかは知りませんが、僕も人とコミュニケーションをとるのが好き…というか、とても楽しいことだと思っています。

梶村:だから commmon もやってるわけやんな。

松田:そうそう。それこそ今は毎週金曜には決まってやっているんですけど、僕以外に誰が来るかは常に未確定なんですよ。まあ前もって連絡くれる人はいますけど稀ですね。

梶村:うんうん。

松田:だからたまにですけど、僕が一人で本を読んで誰も来なくて帰る日もあるんですよね。まあほんまにたまにですけど。

梶村:あ、そうなんや笑

松田:そういう、言うたらきしょいコストのかけ方をしているんですけど、でも別にするんですよ。万が一にでも買えることを信じてデイトナマラソンをするみたいな、リターンに対してそれと同じような判断がある気がする。

梶村:あー、はいはい。まあやっぱりコミュニケーションを渇望するっていうのはあるよね。そのために commmon って場所を設けたんやもんね。

松田:そうそう。

梶村:それってすごいことやと思うんよ。普通そこまでやらんやん。

松田:てかそう、そもそもこれ始めたきっかけって、僕以外のほぼ全員が働き出したタイミングだったんですよ。

梶村:うんうん。

松田:「あれ、これ茶しばけなくなるんじゃね」とか思って、それで茶をしばく習慣を既成事実化しようと思って始めました。

梶村:「ひとりぼっちになっちゃう」ってね。

松田:笑 まあそうです。

梶村:でもそれって否定すべきじゃないと思うし、みんなもっと言ったらいいと思う。「寂しいの」「話したい」って。これな…服とかも結局そうでさ、無人島に行って一人になってもおしゃれしますみたいなやつ、僕あれやらん気がするんよな。

松田:笑

家で一人になったら即全裸

梶村:絶望して服なんか着なくなっちゃう気がする、だって誰も褒めてくれないし。そう、僕は褒められたいんよ。「わあ素敵」って言ってもらいたい。

松田:そうですよね。

梶村:別に褒めてくれなくても「わあ、短パン短いね」って言われたい。そこからコミュニケーションって生まれるわけやん。「めっちゃセーター赤いやん」とかでもいいねん。

松田:実際今日のセーターめっちゃ赤いですよね。

梶村:それをきっかけに話せるとかさ、服の話をしていたと思ったらコミュニケーションへの欲望の話になったりするしさ。そうやってどんどん枝分かれしていく、そのきっかけとしての服っていうのはおもしろいなと思うし。

松田:そうですよね。

梶村:でも単純に、僕は人から服のことを褒められたいし。なんでもいいからコミュニケーションを取りたい。だから commmon っていうのは…素敵やなと思う。

松田:でもそう、僕もコミュニケーションを取りたいんですよ。いろんな人のいろんな考え方が知りたい、自分とは違う人がどんな世界を見て生きているのかが知りたいです。

梶村:せやんな、分かる分かる。あとは commmon のサイトもコミュニケーションやと思うねん。別にコメントを書けるわけでもないけど、でも読み手がいることを想定してきっと書いているなって。

松田:うん、そうそう。

梶村:どちらかというとガラス瓶に手紙を入れて海に流すみたいな感じなんかな。

松田:うん、それは確かに近いかも。

梶村:僕が Twitter とか SNS が大好きなのもそれがあるかな。普通に生きていたら会えなかった人に、今いっぱい会えてるし。

松田:うんうん。

梶村:そういうのが楽しい、だからイーロン・マスク頑張れって。僕はイーロン・マスクに文句言うやつは全員クソやと思ってるから。

松田:それは間違いない。

梶村:だってタダで使わせてもらってるねんで。

松田:文句あるんならやめろよとしか思われへん。アイコンが犬になったくらいで何を騒いでるんやと。 

なんであれ他人に文句を言うやつはクソ、こんなんもう当たり前やんね。使っているサービスであれ人間関係であれ、文句があるなら黙って切ればええし、なんらかの理由でそれができないと言うのであれば、そのトレードオフを選んだのはやっぱりてめえの責任やからね。他人が自分の人生を決定しているという閉塞感の中でどうぞ死んでください。

梶村:な、ほんましょうもないやつらやで。でもコミュニケーションっていうのは最近の大きなトピックで、本当に毎日考えてるんよな。「コミュニケーション…コミュニケーション…」って。

松田:笑

梶村:そもそもなんでその話が出てきたかって、前に友達と話してたときに、採用側として面接をしたって言うねんな。

松田:はいはい。

梶村:それで「あなたの長所はなんですか」っていう質問、これなんて答えたらいいんか聞いてん。

松田:確かに。

採用面接童貞

梶村:「エクセルが使えます」って…別にみんな使えるし、「英語喋れます」って言われてもそんなやつクソほどおるしさ。

松田:うんうん。

梶村:で、なんて答えたら満足してくれるんか聞いてん。そしたら向こうも「確かにそうやんな」って。それで、自分ならなんて答えられるんかずっと考えてて、考えに考えてたどり着いたのがコミュ力やねん。

松田:なるほどな。

梶村:人よりは優れていそうだなと自信を持って言えること…でもさ、ここで「コミュ力高いんです」って言っちゃうと、おれの言いたいのはそういうことじゃないんだ、って感じやん。

松田:笑

梶村:おれの言いたいコミュ力はそうじゃないんだ、もっと切実な欲望としてのコミュ力なんだよ…っていうのを上手く伝えたいなって。

松田:確かにな。それをコミュ力って言っちゃうとね、それはもうエクセルできますって言うのと同じですからね。

梶村:…っていう。あとはうんこが毎日2回出るとか、よく寝られるっていうのも長所ではあるねんけど。

松田:笑 まあ2回はちょい長所かも。

梶村:僕ね、お通じはほんまにいいんよ。生まれてこのかた便秘に困ったことはないねん。するする出る。しかも朝2回とかなんよ。

松田:それは一回で出し切りましょうよ。逆にだめでしょ。

梶村:朝起きてまず1回、それでコーヒー飲んでクッキーかなんか食べたらまた第2波がくるんよ。

松田:まあコーヒーはね、うんこ呼びますもんね。

梶村:で、なんなら夜にもう一回出るねん。とはいえこれを面接で言えるかっていうとな。

松田:まあ言うたら気狂ってますね。

梶村:僕自身はすごく自信を持ってるんやけど、でも理解してもらえないだろうなということも分かってる。まあ社会性ってそういうことやんな。

松田:今の全部を説明して、社会性があることアピールしたらええんちゃいます? ほんまはうんこの話したいんですけどしません、ほら社会性あるんです、みたいな。

梶村:そもそもそこまで踏み込んだ話ができない、面接の構造的な問題はあると思うな。たかだか20-30分で何が分かるんですか?って。一週間くらい寝食を共にせな分かるもんも分からんやん。

2023年4月22日
Aux Bacchanales 紀尾井町